2023年6月15日
齋藤琢医師 不織布の開発について
今回は、東京大学大学院医学系研究科 整形外科学准教授の齋藤 琢先生に寄稿いただいた“不織布”の開発について、ご紹介いたします。
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脂肪片から幹細胞を単離する足場素材の開発について
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CPC株式会社と東大整形外科は、骨・軟骨再生医療寄附講座を舞台に高度な技術を持つ企業様とチームを組み、脂肪幹細胞治療に関する共同研究を展開しています。脂肪幹細胞の関節内投与によって変形性関節症の症状が緩和するメカニズムの解明を継続的に進めているほか、最小侵襲で脂肪を採取するデバイス、脂肪片から幹細胞を単離する足場素材、良質の細胞を培養するための専用のオリジナル培地の開発に成功し、順次実用に供しています。また次世代の治療として、幹細胞の培養上清を用いた治療手段の開発にも取り組んでいます。
今回は脂肪片から幹細胞を単離する足場素材の開発についてご紹介します。
採取した体の組織から細胞を回収する際には、コラゲナーゼなどの酵素を用いることが一般的です。研究室では今でも酵素処理による細胞回収を行っていますが、酵素処理は手間が煩雑で、細胞の活きを悪くすることがしばしばあり、場合によっては期待される数の細胞が回収できないことがあります。実臨床では出来るだけ少ない作業で活きのいい幹細胞を回収することが求められます。そこで私たちは不織布のトップ企業である日本バイリーン株式会社の協力を得て、不織布に特殊な加工を施すことで、脂肪片を載せるだけで幹細胞が勝手に遊走、増殖する足場を作ることに成功しました。特許も出願済みで、現在CPC株式会社で実際の培養に用いており、私たちの脂肪幹細胞培養事業に不可欠なツールとなりました。
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日本整形外科学会専門医(代議員) / 日本再生医療学会代議員
日本骨代謝学会評議員 / 日本軟骨代謝学会評議員
経歴
東京大学医学部 卒業 / 東京大学医学部 整形外科 / 茨城県立中央病院 / 都立駒込病院
NTT関東病院 / 東京大学大学院医学系研究科博士課程 修了
東京大学医学部附属病院 骨・軟骨再生医療講座 特任准教授
東京大学大学院医学系研究科 整形外科学 准教授 / 東京大学医学部附属病院 骨粗鬆症センターセンター長 / お茶の水セルクリニック