2022年2月15日
辻晋作医師 幹細胞治療との出会い~極めようと思った理由~
第1回目は、当社の事業本部長で多数の幹細胞治療の臨床経験を持つ辻晋作医師の幹細胞治療との出会いについてご紹介いたします。
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幹細胞治療との出会い~極めようと思った理由~
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私が幹細胞の治療に携わるきっかけとなったのは、PRPを用いた毛髪治療をスタートさせたことでした。それ以前から形成外科医として褥瘡の治療に携わる中、PRPの効果は実感しておりました。その流れでPRPと同じグロースファクター(成長因子)を持つ幹細胞治療に取り組んでみたいと思い始めたのですが、培養方法や効果の有無については分かりませんでした。
当時、幹細胞はそれほど注目されていなかったこともあり、まず私は培養上清に目を向けることから始めました。その頃ハーグ(HARG)という培養上清を使用した治療法が出てきて、PRPよりも効くという話を耳にし、興味を持ちましたが、内容が開示されていないハーグを購入するよりも実際に培養上清を自分で作ることはできないかと考えました。培養上清を作る方法を自分なりに調べているうちに、細胞培養加工ラボを見つけました。そこに連夜おしかけ培養技術を習得しました。
次に、患者様ご自身の培養上清の生成を依頼し、完成した培養上清を頭皮に投与してみました。しかしながら、思ったほど効果が感じられませんでした。
試行錯誤を繰り返している中で、ラボの方に“培養上清”ではなく“幹細胞治療”を試してみることを勧められました。そして、既に幹細胞治療を行っている先生を紹介していただき、そのクリニックで採取・投与を経験してみました。すると、幹細胞治療の面白さに気づいたのと同時に、その将来性を感じました。
そんな時、2014年11月に再生医療新法が施行されるということになりました。ご紹介いただいたクリニックでは、法律が定める条件をクリアして治療を提供することが難しいと感じたため、私は一旦手を引くことを考えました。しかし、当院の医師たちに相談をしたところ、幹細胞治療の未来にかけてみてはどうかと背中を押され、挑戦することを決意しました。
その後、法律という高い壁を乗り越えるため、論文を検証し、知識を積み重ね、培養方法を習得していきました。前へ前へと進んでいった結果、2016年アヴェニューセルクリニック開院に至りました。日々再生医療と向き合い取り組むなか、再生医療新法施行前から2020年10月時点まで、3000件を超える培養から投与までの症例を経験してきました。
いま私は理論に裏付けされた確固たる経験に基づき、幹細胞治療を自信持ってお薦めすることができます。
【辻晋作医師プロフィール】
医学博士 / 日本専門医機構認定形成外科専門医
日本再生医療学会再生医療認定医
経歴
東京大学医学部 卒業 / 帝京大学医学部形成外科 / 埼玉医科大学形成外科
東京女子医科大学非常勤講師 / アヴェニューセルクリニック